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奥入瀬・焼山

ネイチャーガイドとコケさんぽ

奥入瀬渓流の観光は、流れや、滝、静かな森、景色をなんとなく見流し、遊歩道をただ足早に通り過ぎていくだけのウォーキングになりがちではないでしょうか。 足元にある小さな自然、コケにスポットをあてた「コケさんぽ」では、立ち止まり、観察し、体感し、ゆっくりと奥入瀬渓流を楽しむことができます。奥入瀬に初めてお越しの方や、普段自然に触れる機会が少ない方、体力に自信がない方にも参加しやすいツアーをご紹介!

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みなさまこんにちは。towadatravelの特集ページへようこそ。

本日は、「ネイチャーガイドとコケさんぽ」をお届けします。

ぜひ体験していただきたい、

奥入瀬渓流で「苔」に注目したガイドツアーをご紹介します。

出会い

青森県十和田市に位置する奥入瀬渓流は、上質な自然、遊歩道に恵まれた自然公園です。

四季を通して、樹花、野草、コケやシダ、キノコなどの菌類、野鳥、小動物、昆虫など、さまざまな生き物たちが見られます。

今回は、その奥入瀬渓流でコケに注目したツアーを体験!さっそく行ってみましょう。

向かうのは、奥入瀬渓流の石ヶ戸休憩所(いしげどきゅうけいじょ)です。

ガイド体験日は、曇りのち霧雨、気温は20℃とちょっと涼しい天気でした。

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日本の貴重なコケの森を紹介したポスターがお出迎え。

ここがガイドさんとの待ち合わせ場所です。

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ガイドをしてくださるのは、

FORESTONの玉川えみ那(たまかわ えみな)さんです。

玉川さんは日々自然に触れ合うネイチャーガイドです。奥入瀬の魅力や楽しみ方を発信しています。

まずは、石ヶ戸休憩所をお借りして受付をします。

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受付を済ませたら、いよいよ奥入瀬渓流へ!

っと思いきや、石ヶ戸休憩所から見える景色からガイドはスタート。

奥入瀬渓流のハイキングは、数キロを3時間かけて歩く人が多いといわれますが、

コケさんぽでは500メートルくらいの範囲を散策します。

奥入瀬渓流の成り立ち

十和田湖は約20万年前に始まった噴火活動によって何度も陥没し、

そこに雪どけ水や雨水が溜まってできたカルデラ湖です。

外輪山の一部が決壊して起きた大洪水が大地を削り、

深い谷をつくりました。それが奥入瀬渓流です。

その後も十和田湖の噴火によって奥入瀬の谷はダメージを受け、現在のこの景観はそこから再生してできた森なんだそうです。

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「奥入瀬らしさと聞くと何を思い浮かべますか」と玉川さんに聞かれて、

「渓流、森」と答える私たち。

玉川さんが笑顔で、「実は今見えている景色が、奥入瀬の歴史がわかる奥入瀬らしい景色なんですよ」と紹介してくれたが、今見えている景色は、コケに覆われたごつごつした岩や木、シダや草木が生えている。

奥入瀬らしさとは何だろう。

奥入瀬らしさは「森の再生のしくみ」そのもの

遊歩道のすぐ近くにある岩に注目する。

岩にはコケや草木が生えているのがわかります。

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よく見ると、草木はコケから生えています。

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岩がコケむすことで、コケのマットでき、そこから植物や木の種が発芽し育つ。

生えては枯れてを繰り返し、それが積み重なって土が作られるそうです。

こうして、岩だらけの谷に植物が育つ仕組みができたそうです。

玉川さんの話す「奥入瀬らしい」とは、この景色そのもの。

私たちの横を通り過ぎる観光客のみなさんに、思わず「この景色も見て」と伝えたくなりますね。

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次は、階段を降りて渓流へ向かいます。

渓流の水音がよく聞こえます。

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遊歩道を歩くと、青い花を発見。

「エゾアジサイ」という花で、奥入瀬全域でよくみかけるそう。

大きな装飾花と小さな両性花を持ち、中心部に細かな両性花が、そのまわりを大ぶりな装飾花が囲んでいて、まるでブーケのよう。

花が終わると、なぜか青い花がくるっと下を向くそう。

可愛いですね。

えz

立ち止まるから、見えてくる

大きな岩の前に到着しました。

木の根が岩を鷲掴みするみたいに生えている。よく見ると、岩を割っていますね。

不安定な岩の上で、大きくなっていく体を支えるため、根でしっかりと基盤となる岩をつかんでいます。

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ここで待っていましたコケ観察!

コケ観察には必須アイテムの「ルーペ」を使って覗いてみます。

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ルーペを持っていざ、ミクロの世界へ!

顔をぐっと近づけて覗きます。

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木の葉っぱのような、ワカメのようなものがいっぱい見えます。

苔の湿った感触と、繊細なデザインに、夢中になります。

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蛇のような模様のコケもありました。

コケの種類は約300種類以上もあると言われているそうです。

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コケのマットの上に、小さく可愛らしいキノコを発見。

キノコも苔のおかげで、育っているんですね。

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白い部分を避けるようにコケが生えている岩を見つけました。

岩の模様かと思いきや、なんと「地衣類」という生き物でした。

カビのようにも見える地衣類は、「菌類」と「藻類」の共生体

藻類が光合成で作った栄養を、菌類に提供している仕組みなんだとか。

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ルーペで覗くと、白い粒をちりばめた様な模様がついていました。

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岩だけではなく、木の幹にもあり、安定した物体の上ならどこでも生えることができる地衣類。

ブナの幹の「模様」だと思っていたものは、実は地衣類と知って驚きました。

ミクロの世界から巨木へ

コケのミクロな世界を覗いたら、次は奥入瀬に生えている木に注目しました。

「カツラ」「トチノキ」「サワグルミ」は樹木御三家と言われる、奥入瀬を代表する木なんだそう。ハンドブックを見せていただきながら、あたりを見まわし探してみます。

すると、足元や、私たちの腰のあたりまで成長したもの、空を見上げのけぞるほど成長した木々の中にたくさん生えているのだから驚き。

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足元に木の実が落ちているのを発見。

この実は「トチノキ」の実で、果実の殻にはあらかじめ割目がついていて、落下すると割目に沿って3つに開裂するそうです。

頭に落ちてきたら、痛そうですね。

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実生から巨木となるまで成長するのには150年から200年とも言われるそうです。

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改めて周りを見渡すと、木の実や、腰ぐらいの高さのひょろっとした木が、空を仰ぎみる立派な樹木になることを想うと、当たり前のことだけれども「樹の時間と人の時間は違うんだなぁ」と、なんだか不思議な気持ちになりました。

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大きな自然、小さな自然が集まってできた奥入瀬渓流の魅力

奥入瀬渓流の観光は、流れや、滝、静かな森、景色をなんとなく見流し、遊歩道をただ足早に通り過ぎていくだけのウォーキングになりがちではないでしょうか。

足元にある小さな自然、コケにスポットをあてた「コケさんぽ」では、立ち止まり、観察し、体感し、ゆっくりと奥入瀬渓流を楽しむことができます。

奥入瀬に初めてお越しの方や、普段自然に触れる機会が少ない方、体力に自信がない方にも参加しやすいツアーとなっています。

ぜひ、皆さんも「苔」が主役の奥入瀬渓流の魅力を味わってみてください。

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towada travel 特集「ネイチャーガイドとコケさんぽ」ご興味を持っていただけましたでしょうか。

ぜひ、いろんな方に足を運んでいただけたら嬉しいです。

取材・撮影:鳴海 智子(なるみ ともこ)・三戸 瑠衣(さんのへ るい)

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